IoTとは
一般に広く知られた初のコンピュータ(電子計算機)は、1946年米国の ペンシルベニア大学で17468本の真空管を使って演算処理をするデジタル計算機ENIACが作成されたことに始まります。その翌年の1947年 AT&Tベル研究所でトランジスタが発明されました。
その後米国では、1951年のレミントンランドがUNIVAC I、1952年にはIBMが商用のプログラム内蔵式コンピュータIBM 701を発売するなど、商用化が始まりました。
1970年になると小型化、通信技術が進展しました。1971年には、後にイーサネットの原型となるALOHAnetが運用開始し、1972年には、インテルが8ビットのマイクロプロセッサi8008を発表し、以来半導体技術の進展とともに、高集積化、高速化が進み、パソコンやスマホに組み込まれるようになりました。
スマホに組み込まれている最新のプロセッサーは、処理能力も高いですが、たくさんのソフトウェアを動かすためのメモリーも必要で、携帯電話網やWi-Fiに繋がり、高解像度の画面が繋がり、そのための電力も必要です。価格も高価です。
1970年代に開発された8ビットや16ビットのマイクロプロセッサーは、当時から様々な制御機器の中にプログラムと共に埋め込まれ産業界の米ともいわれていました。現在も機器に埋め込まれるので埋込みコンピュータ(Embedded Computer)とも言われます。
コンピュータシステムを専用の通信回線ではなくインターネットに繋ぐことは、1980年代から始まっていました。
“Internet of Things、IoT”と言う言葉は、1999年に米国MITのAuto-ID Labsのケビン・アシュトン(Kevin Ashton)が使ったのが最初と言われていますが、それまでは、埋込みインターネット“embedded internet”とも呼ばれていました。
IoTは技術的には、物に埋め込まれたコンピュータと(コンピュータ上のプログラムで実現される)インターネットに繋がる機能で物がインターネットにつながると言うことです。
インターネット
古代より狼煙、飛脚、郵便など通信の手段が発展し、1875年には米国で アレクサンダー・グラハム・ベルが電話機を発明し、音声を介して双方向に通信できるようになりました。1895年にはイタリアでマルコーニが無線電信機を発明し、無線での通信が可能となりました。
この通信機能をコンピュータに繋いでデータを送るデータ通信は、1960年代から日本でも銀行や大手製造企業にオンラインシステムとして導入され、本格的に普及が始まりました。このようなオンラインシステムでは、専用の通信回線が用意され、繋がるコンピュータも相互に通信できる相手がきちんと特定され、通信する手順(通信プロトコル)もそれぞれの機器やメーカーの固有のものでした。
一方インターネットでは、「インターネット・プロトコル」(あるいは「TCP/IPプロトコル」)と呼ばれる、標準化された通信プロトコルとその利用モデル(OSI参照モデルと言います)を組み合わせて定義することで、世界中のネットワークとネットワーク、ネットワーク機器とネットワーク機器の相互接続を可能としたものです。
このTCP/IPプロトコルの要は、通信回線を時間を小刻みに分けて繋がる皆で時間を分け合って(これをTime Sharingと言います)、データを「パケット」と呼ぶ小さな固まり分けて送受信することです。これは、1960年代に米国の国防省の研究機関で始まりまり、1982年にはこのプロトコルが標準化され、さらに半導体技術の進歩でこのプロトコルを高速に処理できる通信機器ができました。
1990年代にはワールドワイドウェブ(www)と呼ぶインターネット、そのプログラム言語(https)も開発され、従来の学術的利用から一般の商業利用に急速に広まり、今日に至っています。
従来のデータ通信機器も、中継する機器を介してインターネットに接続することができます。誰でも、相手がインターネットに繋がっていれば通信できるので、グローバル化を促進することになりましたが、一方悪意を持った人たちも接続できるので、セキュリティーなどの対策も必要です。
IoTと農業
IoTは、人がインターネットに繋がるのではなく、”人手を介さず”に物がインターネットに繋がっています。これによって機器やシステムを用途に合わせて最適化することで、人が作業しにくい環境や時間帯、人では見えない些細な出来事を把握して、デジタル化して、人手を介さずに処理をすることができるようになります。
このようにIoTの利用は、対象とする用途で異なり、農業のIoTは用途や圃場、栽栽培方法、作物など、現場に合わせてシステムを構築していくことが必要です。