栄養素

栄養(Nutrition)とは、生物が体外(外界)から物質を摂取し、その物質を体を構成したり、維持したり、生存活動をするのに役立たせる現象と定義されています。植物も栄養を対外から取り入れるのは、動物と同じです。取り入れる物質を、より厳密に「栄養素」と呼びます。

植物は一般的に次の元素17種類を必要とします。(必須元素)
窒素 (N)、リン (P)、カリウム (K)、カルシウム (Ca)、酸素 (O)、水素 (H)、炭素 (C)、マグネシウム (Mg)、硫黄 (S)、鉄 (Fe)、マンガン (Mn)、ホウ素 (B)、亜鉛 (Zn)、ニッケル (Ni)、モリブデン (Mo)、銅 (Cu)、塩素 (Cl)

植物を生育させるための栄養分として、人間が施すものが「肥料」と呼ばれるものです。

栄養はどう吸収されるか?

植物の根の栄養吸収は2段階で行われています。

  • プロセス1:栄養は土壌から根の表面に移動しないとならない。これは、根が栄養を求めて動いて行くのではないと言うことです。
  • プロセス2:栄養は植物の根の外から根の内部に渡らないとならない。こうやって入った栄養は葉へ移動し、作物を作ることになります。

根による栄養素の取り込みは、すべての若い根の部分、特に根の表面積が数百倍に増加する根毛で行われます。1 mmの根毛の数は、湿度、土壌の場所、植物の種類によって変動しますが、例としてアルファルファ、トウモロコシ、イングリッシュライグラスの根の長さ1 mmの毛状の根の数は105、161、88で、全長は37、146、99 mmに達するとの報告があります

根毛の寿命は限られています(約10〜12日)。新しい毛が徐々に成長することで、植物と土壌環境との新しいつながりが生まれます。根は吸収だけではなく、有機および無機物質、例えば水素イオンを放出します。根からの放出物は一部のミネラル物質(リン)の溶解性に影響を及ぼしたり、酸性が進むと粘土から植物に毒性をもつアルミニウムイオンを溶けだしたりします[大地の五億年]。

栄養素はどこへ行くか?

栄養素の窒素、カリウム、カルシュウム、マグネシウムは、水に溶けてプラスのイオンとなります。一方、土壌に含まれる微小な粒子(土の鉱物や腐植)は通常マイナスの電荷をもっているので、プラスイオンは土壌粒子に吸着されます。土耕栽培で肥料として与えた栄養は、土壌で保持され、作物に吸収されます。

「独立栄養生物」(植物)は、外界から無機物の栄養素を取り入れれば、あとは糖質など有機物を体内で合成できます。

植物に吸収された栄養素は、光合成で作られた炭水化物(ブドウ糖)をエネルギー源として、アミノ酸、タンパク質など細胞を構成する有機物を合成して行きます。

有機物の例。空気と水からのC・H・O以外の栄養素は、栄養として与える必要があることが分かる
栄養素(肥料)が移動して、有機物になり、植物が成長する様子を模式的に示した例
栄養素と植物生理での役割

栄養素の移動速度

栄養素の植物での吸収速度は、栄養素で異なります。

葉面で与えた肥料の栄養素毎の吸収時間

栄養状態の診断

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葉面分析

硝酸イオンメーター

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