水と光合成
根からの水は、約1%が光合成に使われるほかに体内水分として残る以外の約90%は蒸散として植物から発散します。蒸散とは、水が気孔から水蒸気として発散することです。蒸散量が多いと言うことは、気孔が開いていることで、このことは光合成量が増える事です。
蒸散は気化冷却で葉の温度を下げます。葉の温度25℃が光合成の適温です。(C3/C4/CAM植物を参照ください。)
蒸散とは
蒸発(evaporation)とは,一般に液体の水が気体の水に相変化する過程をいう物理用語です。ただし,地表面から大気中へ放出される水蒸気の輸送過程を扱う場合,蒸発現象は蒸発(evaporation)と蒸散(transpiration)とに分けられ、両者を一括した現象が蒸発散(evapotranspiration)として定義されています。
- 蒸発(vaporation)
・海や湖などの自由水面からの蒸発
・土壌面からの土壌水の蒸発
・植物や建造物に遮断された水の蒸発 - 蒸散(transpiration)
・植物体内の水が細胞壁で気化して水蒸気として大気中に放出される現象
水の吸収
吸水
陸上の植物の吸水は主として根で行われています。根の表皮細胞から内部の細胞へ浸透圧の差を利用して浸透的に水が移動し、表皮細胞で吸収された水は,皮層を通り内皮を通過して,維管束系の木部道管細胞に入ります。
根毛から道官にいたる水分の経路には、細胞壁の部分を通過する経路であり,もう一つは細胞の中を通過する経路の二つがありますが、どちらの経路を通ってきた水も,細胞の中を通って道管細胞に入ると考えられています。
水の上昇
地球をおおっている大気の層によって、海面では面積1cm2あたり約1kgf(水銀柱で約76cm、水の場合約10mに相当)の圧力がかかっており、これを大気圧または単に気圧と言います。平地では1気圧なのでこれだけでは水は約10mまでしか上昇できないはずですが、樹高が10mを越える樹木の先端にまで水が運ばれているメカニズムについては,様々な説が提唱されて議論されています。現在は、葉から空気中へ水が蒸散するときに生じる吸引圧に起因すると考えられています。液体の水が空気中に蒸発するときの圧力差が道管中の細い水の柱を10mを越えて引き上げる力を生じると考えられています。